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雪の日のお話

 その日は珍しく雪だった。
 恋人となった雪奈と帰るときはいつも手を繋いで帰る。
 こんな寒い日でも手袋を着けず、赤くなった手は冷たい。
「手袋、つけないのか」
「うん、感触わからないから」
 1つの傘に入って身を寄せ合うように歩く。
 降る雪は、俺達の足跡を音もなく消していく。
「……寒くないか」
「うん。里玖の手、暖かいよ」
 話すたびに白い息が吐き出される。
「…雪奈」
「ん? …ん」
 歩みを止め、俺が名を呼ぶと少し小さい彼女は見上げるように俺を見る。
 そんな彼女に俺は唇を重ねた。
 触れるだけの、いつもより少し長いキス。
 最後に唇を啄んでから顔を離すと、彼女の頬は赤く、少しだけ目が潤んでいるように見えた。
「暖かくなったか?」
「う、うん……」
 恥ずかしがる彼女の声は小さいが、握っていた手は暖かさを取り戻していた。 

***
お題は理想のキスをしてもらったー(http://shindanmaker.com/53071)からで「里玖雪は雪が降る日に隠れて、胸に祈るような初めてのキスをするでしょう。」から。
ついでにツイッターノベルにチャレンジしてみたかった。が、3枠になってしまった代物。
お題から逸れてしまったが、ポッと出たSS。