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【魔学】おまじない(※1/7一部書き換え)

RTしたら〜のタグに便乗して。
湧点さんからリクエスト頂きました。
うちの子側は誰でもよいと言ってくれたので。
今回は魔学でいきます。
続き

 とある国の中央都市より離れた場所に、その学園はあった。
 魔の力を持って巧みに操る魔法使い、魔の力を持たず剣や力を巧みに扱う騎士、そして魔の力と剣を巧みに扱う魔法騎士を育てる学園。
 ある者は魔法使いとして、ある者は騎士として、ある者は魔法騎士として勉学に、訓練に励んでいた。
 そんな学園には魔物たちが生息している森がある。
 むろん、生徒たちの訓練用の森であり、普段は立ち入り禁止になっているが時折授業に使用されることがある。


 その日、騎士科と魔法騎士科に属する上級生と下級生の合同授業があった。
 その場所は魔物の生息する森。
 少数のグループを作り、森の中で生息する特定の魔物を退治するという簡単な課題が出されたが、敷地が広く迷いやすいと教師陣から注意されていた。
(しまった……完全にはぐれてしまった……)
 辺りを見回しながら、灰色と黒の制服に身を包んだ少女は思う。
 彼女の名はキリス・ラリアート。
 騎士科・魔法騎士科の数少ない女子でグループを作り、課題に当たっていたが、目的外の魔物に襲われた際にはぐれてしまったようだ。
(特攻するんじゃなかったな……どっちに行ったんだろう……)
 魔物に警戒をしながら、キリスは仲間の生徒たちの姿を探すも見つからない。
 勘を頼りに歩き出すも初めて入る森の中。
 いつの間にか辺りは薄暗くなり、人気すら感じない。
 歩いている間も魔物に襲われ、応戦していたため体もそこそこに傷を負っていた。
(どうするかな……来た道を戻るか……!!)
 思案中に感じた殺気に振り向くと、狼型の魔物がすぐそこまで迫っていた。
 反撃しようと体を動かしたとき、“ぎゃうん!”と魔物が声を上げて崩れ落ちる。
「大丈夫?」
 目の前にいたのは剣を持った黒髪のポニーテールの女性が立っていた。
 学園指定の制服をではなく、軽装はしているもののその服装はシンプルな麻のシャツにズボンと私服に近い。
「あ、えっと……?」
「あら、あなた魔法騎士科の子ね? 授業中? それとも無断でここに入ったのかな?」
「いや、授業でですけど……」
 にこにこと笑顔を浮かべる女性に、キリスは困惑した。
 まず一般人がいるわけがないことと、顔立ちがグループ内にいる騎士科の先輩に似ていると思ったのだ。
「まぁ、はぐれちゃったの? 合流しないとね。あなた、名前は?」
「き、キリス……」
「キリスちゃんね。ちょっと力を借りたいの。目を閉じてもらってもいいかしら?」
 唐突な女性の頼みにキリスは戸惑わざるをえなかった。
 そんな緊張を感じたのだろう、女性は微笑んで“大丈夫よ”と言う。
「ちょっとしたおまじないをかけるだけ。あなたの傷も治したいから、ね?」
 どうしようか、とキリスは考える。
 しかし女性は考えているキリスを気にせず、彼女の肩に軽く手を添え、前髪をかき分けて唇を落とした

「!?」
 突然すぎる行動にキリスは思わず固まってしまう。
 時間にして5秒ほど。
 短い時間だが、暖かい光がキリスの体を包み込んで傷ついた体を癒していた。
「これで大丈夫。あとは……」
 女性は体の向きを変えるとチュッと誰もいない方向に向かって投げキッスをする。
 その瞬間、風が何処からともなく噴出した。
「うん、つながったわね。風が流れていく方へと歩いてきましょう。きっとあなたを探す仲間たちのところへたどり着くわ」
 “さぁさぁ”と女性は歩き出す。
 展開についていけないキリスだが、ひとまず女性についていくことを決めて歩き出した。
 仲間の気配を感じたら逃げればいいと考えて。
 警戒をしながらもキリスが女性のあとをしばらく歩いていると、開けた場所に出ることができた。
「キリスちゃん!」
「ラリアートさん!!」
 そこには仲間の騎士たちと先輩たちの姿。
 心配していたのだろう、同じクラスの女子生徒が駆け寄り抱きしめる。
「リリア姉さん?! 来てたの?!」
「あら、ミユウちゃんの後輩だったのね。無事に合流出来てよかったわ」
 キリスと同じグループにいたミユウは同行者であった黒髪の女性を見て驚きの声を上げていた。
 出てきた名前に騎士科の生徒がざわつきだす。
「リリアって中央都市で王の護衛してるっていう……」
「たしか5年くらい前にすんげぇ成績で卒業したって噂の……」
「ふふふ。それじゃ、私は用事があるからこれで。あとはお願いね、ミユウちゃん」
 にこにこと笑いながらリリアと呼くばれた女性はミユウに向かって言うと学園に向かって歩き出す。
 呆然とする生徒たち。
 キリスが戻ったと聞いた教師たちは彼女に怪我はないのか、どうしてはぐれたのかと説教交じりに問う。
 キリスは謝り、注意を受けた後にはぐれてからのこと話すと教師たちは苦笑する。
「先生たちは知ってるんですか? さっきの人」
「あぁ、もちろんだよ。ここの卒業生だからな。リリア・トリス。名前は聞いたことあるだろう?」
「確か女性で過去最高の成績を残した魔法騎士科の生徒……」
「今じゃ王の護衛兵士長らしいぞ。すごいやつに助けてもらえたな、ラリアート。だが女子班は減点だ。あとで反省会をするぞ」
 担当教師からのお達しに女子グループは“えーっ”と批判の声を上げる。


 反省会という名の課題後のこと。
 同じグループにいた騎士科の女子生徒がミユウに問う。
「先輩。そういえばさっきリリアさんのこと知っていたみたいで
すけど、どういう関係なんですか?」
「リリア姉さんは私のいとこなのよ」
 “よく姉妹に間違われたわ”と苦笑いをしながら話すミユウにキリスはひっそりと“だから似ていたのか”と思うのだった。

***
というわけで、相手はリリアにさせて頂きました。
うん、前から出したかったんです。
お気に召さなかったら書き直します。

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