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【LW】夢ノ国に呼ばれて03

おいでませ夢ノ国
続き
 とある部屋の中、神官のルーとテラスが魔法陣の上で眠る少女を起こそうとしていた。
 朽ちた葉のような茶の髪を持った少女は魔術師のような風貌をしており、両手首や髪飾りにはカラフルなアクセサリーをつけていた。
「勇者様、起きてください。大変なんですー」
 テラスがゆさゆさと少女を揺さぶる。
 ルーが心配そうに見守る中、少女はゆっくりと目を覚まし、身体を起こした。
「ここは……」
「はじめまして! 私は神官のテラスです!」
「私は神官のルーと申します。突然のことで驚かれているかと思いますが……この場所は『夢ノ国』。世界の外に在り、すべての世界に連なる場所。そして全ての世界を隔てる場所。私とテラスはこの夢ノ国の管理をしている神官なのです」
 テラス、ルーの順に自己紹介をされ、驚く少女。
 驚きながら少女はぺこっとお辞儀をし、二人に倣うように自己紹介をする。
「えっと、雪奈と言います。召喚士をしていますが……いったい?」
「詳しい事情は訳あって私達でも難しいのですが……」
「? 難しい?」
「ルー姉様っ」
 切羽詰まったような声でテラスがルーの名を呼ぶ。
 ルーはうなずくと、雪奈と名乗った少女に告げた。
「申し訳ありません、勇者様。あなただけが頼りなのです。私と共に来て頂けないでしょうか?」
「ん? 勇者? どうゆうことですか?」
「実はね、黒キ者っていう嫌なヤツに攻撃されちゃって、大変なことになってるんだよ……」
「今、この国に黒キ者が放った魔獣が接近してきています。勇者様には、その退治をお願いしたいのです」
 憂いを帯びた表情で事情を話すルー。
 テラスも“お願い”と言わんばかりに雪奈を見つめている。
「分かりました。と言っても、事情がよくわからないのであとで聞かせてください」
「もちろんです!」
「でもそのままじゃ戦えないでしょ? この世界にはオーブっていう――」
「……大丈夫です」
 テラスが何か提案としようとした時に、雪奈が言う。
 手を組み、眼を閉じるとオーラのようなものが一瞬、雪奈を包んだ。
「魔法が使えます。多少なら戦えます」
「ルー姉さん何してるのさ! 魔獣がすぐそこまで来てるよ!」
 バタンと扉が開く音と共に少年の声が入ってくる。
「トト!? どうしてここに? アレウスのサポートは?」
 どうやらルーの知り合いらしい、その少年はルーとよく似た赤の衣装、赤い髪に赤バンダナと赤の印象的な風貌だった。
 ルーは少年をトトと呼び、出てきた“アレウス”もまた仲間なのだろうと雪奈は思う。
「こっちの様子が見えてね。急ぐように言いに来たんだ。アレウスもそうしろってさ」
 そうルーに答えてからトトは雪奈を見る。
「っと。そういえば自己紹介しておくよ。ボクはトト。二人と同じ神官さ。よろしく、勇者サマ」
 トトの言い方にひっかかりのようなものを感じた雪奈だが、丁寧に“よろしくお願いします”と深々お辞儀していう。
「まず、私は何をすればいいでしょうか? できれば杖になるようなものを借りたいのですが」
「ならば武器庫に。案内します、ついてきてください」
 ルーに先導され、雪奈はついていく。
 部屋を出て、下へ下へと階段を下りて二人は歩く。
「武器庫は王都内に広がる地下道の先にあります。急いで武器庫に向かいましょう」
「はい」
 案内された地下道は思いのほか広く、きれいに整備されていた。
 もともと人が少ないのか、それとも減ってしまったのか。
 地下道に人の気配はない。
 二人分の足音がカツカツと響く。
「!?」
 何の前触れもなく、二人の前に黒い靄のようなものが現れ、その中から狼型の魔物が飛びした。
「ここまで魔獣が侵入しているなんて……!」
 どうやらルーたちの言う魔獣というものだとわかった雪奈は、両の手を向い合せて目を閉じる。
 脳裏に描くのは揺らめく火球。
 その火球が、雪奈の手の中に現れた。
「燃やせ ファイア」
 押し出すように両手を突き出すと、火球が狼型の魔獣へと一直線に飛んでいきその身を燃やす。
 跡形もなく消えた魔獣にルーは驚いた表情をしていた。
「武器もなく撃退されるなんて……! 間違いなく勇者様ですわ!!」
 興奮するルーに雪奈はちょっと困ったように笑いつつ、そのまま武器庫へと向かう。
 2度3度と現れる魔獣を退治しつつ、どうにか武器庫についた二人。
 中に入れば、オーロラのような淡い光を放つ球体が入ったたくさんの木箱と、白と青をあしらった鎧姿の青年がそこにいた。
 右が黄、左が蒼と珍しい瞳が印象的だった。
「貴公が勇者か。私はアレウス。ルーやテラスと同じ神官だ」
「雪奈です。えっと、どうしてアレウスさんはここに?」
「テラスから聞いた。本来ならばオーブを装備するための準備をしていたのだがな」
「? オーブ?」
 アレウスは腕を組んだまま、無表情で話をする。
 その声色には若干の落胆も含まれているように雪奈は感じた。
「オーブとは戦うための力を封じ込めたものです。力を生成し作ることはできたのですが、私達この世界の者にはそれを使うことができませんでした。アレウス、杖のオーブはあるかしら」
「杖? どうしてだ」
「勇者様は杖をご所望されました。それに魔術師のオーブをお持ちになられてましたので」
「ん? 私、持ってませんよ?」
 突飛なルーの発言に、雪奈は首をかしげて言う。
 説明されたオーブの形なんて見たこともないのだから。
「え? だって……」
「私は召喚士です。魔法なら使えます。ここで使えるかはわかりませんでしたが」
 “使えて安心しました”と続けていい、笑顔を見せる雪奈。
 ルーは“申し訳ありません”と慌てて頭を下げた。
「でも、武器がないのは事実なので杖があれば。ほんとは自分のものを使いたかったのですが……」
 困ったような笑顔をする雪奈に、アレウスは何か考えるようなしぐさを見せると木箱の1つから球体を手にとり雪奈に投げ渡す。
「わっ!?」
 雪奈がその球体を受け取った瞬間、球体は強い光を一瞬放つと、杖の形を成していた。
 それは、雪奈が愛用している杖にそっくりだった。
「これ……私が使ってたやつだ」
 感嘆の声をあげる雪奈。
 ルーはほっとした表情をする。
「あぁ! いたいた! 大変よー!」
「どうしたのテラス」
「魔獣が神殿を狙ってるのー!」
「ボクも見ていたんだけど、周りにずいぶんと来てるよ。早く倒さないとまずいんじゃないかな」
 テラスとトトが慌てて武器庫に入ってくるなり、そう告げた。
「貴公が勇者とは信じられないが、そのオーブを使えるところを見ると可能性はある。ただの冒険者でも構わない。結界を張ったので弱体化はさせられたはずだが、魔獣を倒してはもらえないだろうか」
 トトの時と同じくひっかかりを感じた雪奈だが、笑顔で“はい”と答えた。
「詳しい事情はわかりませんが、お力が必要ならばお貸しするまでです」
「勇者様……アレウス、この方は勇者様です! 絶対そうなのです!」
「あーはいはいルー姉さん。長くなりそうだからそのくらいで。王都も襲われてるんだから」
「私、王都の人々と交心術で話ができるの。もうすぐそこまで来てるんだって!」
 興奮するルーを押さえつつトトがいい、テラスがその理由を話す。
「急ぎましょう。案内、お願いします」


 ルーを先頭に雪奈は地下道を歩いていく。
 一瞬、衝撃に襲われ目をつぶると、次に目を開いたときには地下道の中ではなく赤くひび割れた荒地に立っていた。
「これって……」
「驚かれましたか? 異界の穴の中はもう別の世界なのです。でも、オーブの力を持って魔獣を倒せば、この異変を収め、王都を護ることができます。どうか王都をお守りください!」
 ルーの説明によれば、異界と夢ノ国をつなげる穴があり、そこから魔獣が出るということらしい。
 そう解釈した雪奈は“わかりました”と言って辺りを見回す。
 黄色い体をしたモンスターが数体ひょこひょこと歩いていた。
「あれかな…?」
 よくよく見れば周りには人の姿があった。
「この世界には勇者様と同じくオーブの力を持った冒険者がいます。彼らと共闘することでより有利に戦うことができるはずですっ!」
 ずいぶんと熱がこもってるな、と雪奈は思う。
 見た目は何処にでもいそうなモンスターだが、油断はできないと雪奈は彼らの元へ走っていく。
 みな同じような服装で、旅立ち始めたばかりなのだろうかと思うような軽装だったが、モンスターは思いのほか弱く、あっという間に倒すことができた。
 互いに礼を言い合っていると、異変とやらは収まっていて先ほどまでいた地下道に戻っていた。
「あれ……?」
「交心術で街の様子を聞いたんだけど、魔獣たちはみんな撤退し始めたって~!」
 テラスが走りながら嬉しそうにルーと雪奈に告げる。
 その後ろにはアレウスとトトもいて、ほっとしたような表情をしていた。
「あの状況から王都に迫った魔獣の群れを全て撃退したという事か……奇跡としか言いようがないな」
 感慨深そうにアレウスが言う。
 が、雪奈には“あの数体で?”と首をかしげそうになった。
 危機迫る世界ならばもっと強い敵がいてもおかしくない、と思ったのだ。
「『運命の輪を回すもの』だっけ。何かの思い違いかと思ってたけど……。全否定は出来ないのかもね」
「と、とりあえず落ち着いたのなら……先ほど言ったように詳しい事情を教えてください。力が必要だと言ってくださるのは分かったのですが……」
「……そうですね。ここではあれですから、場所を移しましょう」
 ルーの提案に一同はうなずき移動するのだった。


 移動した先は、最初に雪奈がいた部屋の隣の部屋だった。
 小さなテーブルが1つと椅子が4脚。
 そのうちの1つに雪奈を座らせてルーは彼女の正面に座り、テラスはルーの左隣へ。
 トトはルーの右斜め後ろに立ち、アレウスは出入り口の横に背を預けた。
「教えてください。どうして私がここに呼ばれたのか、この世界でいったい何が起きているのかを」
 ルーを見据えて雪奈が言う。
 “はい”と答え、ルーが話し出そうとしたその時、扉が乱暴な音を立てて開かれた。
 現れたのは輝くような銀の髪を持つ青年。
 驚いたアレウスが腰に差した剣に手をかけようとし、それに気づいたルーがアレウスの名を呼んで止める。
 闖入者の正体がわかった雪奈は乱暴に立ち上がり、その人に飛びついた。
「雪奈っ!!」
「里玖!」
 感動的な再会、と言わんばかりに互いを抱きしめあう二人。
 周りを余所に二人だけの雰囲気が作られる。
「無事で……よかった……」
「私は大丈夫だよ。でも心配かけてごめんね」
 泣きそうな声をする青年・里玖に雪奈はあやすように言う。
 ルーとテラスは二人の様子見て以前に“人を探す”と言っていた青年だと思い出した。
「あなたが探していた方は、もう一人の勇者様・雪奈様だったのですね」
 そうルーが言うと里玖はぎらっと射殺すような眼光でルーを見る。
 それはまるで巻き込むなと言わんばかりに。
 “ひぃっ”とルーの恐怖の声を聴いて雪奈が諌めるように里玖の名を呼んだ。
「里玖、ルーさんをいじめないで」
「だがっ」
「だが、じゃない。事情はこれから聞くの。それから帰る方法を考えよう?」
「どうして、そう落ち着いていられるんだ!? 帰れるかもわからないんだぞ!」
 里玖は雪奈を離し、肩をつかんで感情をあらわにする。
 雪奈はふにゃりと笑って言った。
「こうしてまた逢えたんだもの。きっと帰れるよ」
 その笑顔は里玖を負かすには充分すぎるほどのものだった。
 穏やか表情をし、降参というかのように雪奈の左肩に額をつける里玖。
 その姿を見て“ありがとう!”と雪奈はそのまた里玖に抱きついた。
 あっけにとられていた神官たちを代表するようにアレウスが咳払いをする。
「あ、ごめんなさい」
 里玖から離れ、雪奈はルーの方へと向き直って椅子に腰掛ける。
「彼は里玖。剣士で私の夫です。里玖は先にこっちに来てたの?」
「あぁ。わけのわからんことを言われたがな」
「またそういうこという! すみません、ルーさん」
「いえ。それでは説明させていただきますね」
 コホンと軽く咳払いし、ルーは説明を始めた。
「まず、最初にお伝えします。私達神官を含め、王都の民には1年以上前の記憶がありません。もちろん、すべてではありません。日々の生活を送る術や、私達神官の王都を管理する術などは理解しています。ただ、それ以前の王都のこと。この世界の積み重ねてきた歴史、思い出。その全てが失われていたのです」
「え……全部ですか?!」
「はい。ある日、眼を覚ました時に私達が覚えていたのは3つの言葉でした」
 ルーが前置きをするように言うとテラスが口を開く。
「『夢ノ国が滅ぶ時、現実は夢となり、混沌の内に消え去るであろう』」
 続くようにトトが言う。
「『夢ノ国を脅かす者を恐れよ。悲哀に染まりし暴威を裁くは我が王のみと知れ』」
 最後にアレウスが言う。
「『王を救いたるは勇者のみ。其は運命の輪を回す者。禁忌の門を開く者』」
「どうしてこの言葉を覚えているのか、それは私達にもわかりません。ですが、こうして危機は迫っています。私はあなたこそ、いえ貴方達こそが勇者だと信じています。そして、勇者である貴方がたに、『王』を救ってもらいたいのです」
「その、王様はどんな方なんですか?」
「残念ながら、王が何者で、どこにいるのか……いえ、存在するのかさえわかりません。今は、勇者様たちのお力が必要なのです。どうか、どうかこの『夢ノ国』を、私たちを助けてください!」
 “お願いします!”とルーが頭を下げる。
 どうしようかと雪奈が里玖に相談しようとした時、彼の口が開いていた。
「無理な話だな」
「そんなっ……!」
「俺たちは本来いた世界に戻る。その方法を探さなければならんからな」
 落胆の色を見せるルーとテラス。
 トトやアレウスは険しい表情をしている中、“それに”と里玖は付け加えていう。
「街に出て話は簡単に聞いていた。ある宿の店主は俺の耳元を見て“冒険者”だと判断した。お前たちは俺や雪奈を勇者と呼ぶが、本当は冒険者と呼ばれる者達も“勇者”と言う立場の者ばかりではないのか?」
 里玖の言葉に、ルーは言葉を詰まらせる。
 顔をうつむかせ、狼狽えている。
「確かに……確かに、冒険者の方々も召喚術でお呼びはしました。ですが、お二人は違います。禁術を使ってお呼びしました。」
「なるほど、その禁術がどういうものかはわからんが、あくまで勇者は俺たちだけ、というのだな」
「はい」
 いぶかしげな視線を送る里玖に雪奈は“もう”と眉を潜ませる。
「ルーさん。私たちが本当に勇者なのかはわかりません。ですが帰る手立てが見つかるまでは、お手伝いはしたいと思います」
 雪奈の言葉に里玖は驚き、ルーの顔が明るさを取り戻す。
「雪奈っ!」
「もしかしたら、お手伝いをしているうちに方法がわかるかもしれないでしょ? 情報を集めるにもいろいろなところに行けるなら、ね?」
 小首を傾げ、“だめかな?”と言わんばかりの視線を里玖に送る雪奈。
 そんな視線に見つめられ、里玖は盛大にため息をついてぼそりと呟く。
「まったく、しかたないな」
「ありがとう里玖!」
「ありがとうございます!」
「ありがとう勇者様!」
 ルーとテラスが歓喜に沸く。
 アレウスとトトはそんな二人を若干呆れた表情で見ていた。
「そういえば、さっき耳元がどうのって言ってたけど……」
「実は、召喚時に両耳にイヤリングをつけさせていただいたのです。ですが、里玖様は片耳にしかついていない。おそらく雪奈様にも片耳だけイヤリングがついているはずです」
 ルーの説明を聞いて雪奈は自分の耳を触る。
 左耳にイヤリングのようなものが下がっていることに気づいた。
「あ、あった」
「それが民と冒険者、勇者様を見分ける目印。民には冒険者に協力をするように伝えています」
「なるほど」
「さて、俺たちは行くが……構わないよな」
 有無を言わさないような問い方をする里玖にルーは頷くしかなかった。
「では、失礼する」
 里玖は雪奈の手を取り、半ば無理矢理に部屋から連れ出すように外へと出ていく。
 引っ張られながらも雪奈は神官たちに会釈してついていくのだった。


 城下町へとつながる城門まで出てきた二人。
 青い空は雲で翳りを見せ、ところどころに黒味が増している。
「……降りそうだな。とりあえず今借りてる宿に向かう」
「いいけど……どうしてあんないい方するの?」
「それは俺のセリフだ。どうしてそう安請け合いする」
 手をつなぎ、里玖が先を歩きながら雪奈に問う。
 雪奈はきょとんとした。
「私たちを召喚した、ってことは何か目的があってだと思うの。それがどんなものかが解らなかったけど、ルーさんたちの言う『王』探しなのか、世界を救う事なのか。もしかしたら違うものかもしれないけど、その目的を突き止めて解決しない限りは帰れないと思って。ほら、精霊たちの召喚も目的あってでしょ?」
 “それと同じだよ”と答える雪奈に里玖はため息をつく。
 理屈がわかっても納得はできない様子だった。
「まずは世界を知るところから始めようと思うんだ。いい、かな?」
「……雪奈が決めたことだ。いいも悪いもない」
「里玖……」
 そんなとき、ぽつりと雨粒が雪奈の顔に落ちる。
 見上げてみれば空は黒い雲に覆われていて、ぽつりぽつりと雨粒が降り出す。
「雨っ!」
「宿屋まで走るぞ」
「うん!」
 手を繋いだまま、二人は目的の店まで走っていく。
 見えた先には大衆食堂があり、雨から逃げるように滑り込んだ。
 服や髪はしっとりと濡れてしまって、不快な感覚に襲われる。
 その時、
「貸しひとつ、という事で」
「え?」
 聞き馴染みのある声が聞こえたかと思うと、先ほどまで襲われていた不快感がなにもなかったように消えていた。
 思わず声のする方を見た雪奈は驚いた表情をして、髪や服を触れば先ほどまであった水気はなくなっていた。
 その代わりなのだろうか、飲み口に若干泡がついていたジョッキにはたっぷりと水が満たされている。
 同じ現象にあった里玖はその声の持ち主に気づくや否や、雪奈をかばうように後ろに隠すと、鋭い眼光をそちらへと飛ばした。
 そんな様子にため息をついたのは二人よりやや幼い少年。
 緩やかな所作で手招きをする少年に里玖は警戒心を高めるが、雪奈は“行こう”と言って手招きされたテーブルへと向かう。
 その少年は、二人のいい意味でも悪い意味でもよく知る人物だった。

「とりあえず、情報をくれ」
『あとマスターを真っ当にこの街へ出入りさせる手引きをお願い出来ませんでしょうか……』
「ふざけるな!」
「里玖、落ち着いて!落ち着いて!」

 相性最悪の二人が揃うと、話すらまともに進まないようだ。

***
なんとか「ようこそ夢ノ国」までこぎつけた。
雪奈はお人よしなのでLWのチュートリアル部分を演じてくれました。
多少の改変はあるけど、大筋はあっているはず。
この後かけるかわかりませんが、書きたいところは書いた(`・ω・´)

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