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スキンシップ

ゆりゆりなネタをいただいたので書いてみた。
しかしセシリアさんがコレジャナイ感満載です……
あのときめき、表現出来ない……!!!orz

続き
 王華高校の2年にはマドンナと呼ばれる女子生徒がいる。
 一人は佐伯セシリア。金糸雀の髪色と翠の瞳を持ち、彼女の笑顔は男女問わずに心を鷲掴み、中瀬里玖FC続いて大きなFCを抱えるハーフな子。
 そしてもう一人は矢島雪奈。主に男子に人気があるが、一部の女子―というかあるFC会員―から嫌われているというちょっと不憫な子。
 そんな二人はそれとなく噂で互いを知っていたが、2年に進級して初めて出会い、いざ話してみればあっという間に仲良くなった、初夏も間もないある日のお話。


スキンシップ


「雪ちゃん、ありがとね」
「ううん、佐伯さんのご指名だもん。期待に応えなくっちゃ!」
 その日、セシリアは日直だった。
 しかし一緒に組むはずだった生徒が欠席したため、代理を雪奈に頼んだらしい。
 和気あいあいと日直の仕事をこなし、放課後になった今は雪奈が日誌を書いていた。
 ちなみに、残っているのはセシリアと雪奈だけ。
「それに、前私が休んだ時に佐藤君が変わってくれたから、そのお返し、かな?」
「へー。佐藤君と同じクラスだったんだ」
「うん」
 楽しそう話しながら、しかし手を止めずに日誌を書き続ける雪奈。
 黒板を消し終えたセシリアは手持無沙汰になり、考える。
「……そういえば」
「ん?」
「彼とはどこまで進んだの?!」
「ふえ!?」
 唐突に聞かれた質問に、雪奈は驚いた声を上げた。
 その様子を見て、セシリアはにやにやと笑う。
「聞いてるわよ、1つ上の先輩と。夏から、ってね。それって中瀬先輩のことでしょ?」
「なななな!?」
「あら、雪ちゃん。顔が真っ赤よ?」
 うふふ、と笑いながら言うと雪奈は隠すように両手で顔を覆った。
「だ、誰にも言ってないのに……」
「FCの子たちが噂していたのを聞いたのよ。それに、最近は中瀬FCの人に目、つけられてるみたいだし」
「うぅ……」
 図星だった雪奈は小さくなるように机に伏す。
 秘密にしていたことだったようだ。
「い、言わないでよ?」
「ということは、本当だったんだ。中瀬先輩と付き合ってるの」
「!?」
「うふふ。ほんと雪ちゃんは分かりやすいわね」
 とかまをかけられたとわかり、雪奈が驚くとセシリアは笑った。
 ひとしきり笑うと、セシリアは雪奈の傍に行く。
「それで、どこまで進んだの?」
「そ、それは……」
「あら、そんなに進展してないの?」
 雪奈からどこまで進んだのかと聞くセシリアの表情は笑みに満ちていた。
 対して雪奈は恥ずかしそうにうつむいている。
「もしかして、キスもまだ?」
「!?」
「あら真っ赤。中瀬先輩ってヘタレな人なのね」
「そ、そんなことは……!」
「うぶなのはいいけれど、積極性も大事よ?」
 そう言って、ふっと隣の校舎をつなぐ廊下を見て、笑みを浮かべた。
「そうだ。効果的な迫り方、教えてあげる」
「ふぇ?!」
「大丈夫、私がやって見せるから。まずは逃げられないようにするの」
 そう言って、セシリアは逃げそうになる雪奈を壁際まで迫る。
 もともと雪奈の席は窓側のため、セシリアが逃げ道を塞いでしまったために逃げ出せなくなった。
「さ、佐伯さん!?」
「セシリアって呼んで。次はね、優しく手をつかむの」
 話しながら、セシリアは雪奈の手をつかみ、指を絡ませて恋人つなぎをする。
 すでに雪奈は真っ赤な顔になっていた。
「雪ちゃん、さっきから顔が真っ赤ね」
 うふふと笑いながら、雪奈に顔を近づけていく。
「え、えええええ?!」
「雪ちゃん……かわいい」
 唇が触れ合うまであと数センチと迫った時、ガシャンっととてつもなく大きなが音が聞こえた。
 セシリアは振り返ってみると、そこにいたのは大きく肩を揺らして呼吸をする銀髪の青年の姿。
 誰なのかすぐにわかったため、くすっと笑う。
 青年は荒い呼吸のままズカズカと二人に近づき、セシリアを雪奈から引きはがした。
「何を、している」
「何って、スキンシップですよ?」
「あんなに密着してか!」
「あら、嫉妬?」
 クスクス笑いながら、煽り立てるように言うセシリア。
 この教室に来た時から気が立っていた青年、中瀬里玖を怒らせるには十分すぎる材料だ。
「っ!!」
 怒り任せにセシリアに殴り掛かる里玖だが、セシリアは風のように身をかわす。
 しばしの間、里玖とセシリアの攻防が続いた。
 止められるのは雪奈しかいないが、当人は腰が抜けているために止めに入れない。
 やがて里玖の動きが止まり、ぜぇはぁと息切れしているのに対してセシリアはやや制服が着崩れたぐらいで、涼しい顔をしながらくすくす笑っていた。
「まだまだですね、せんぱい?」
「きさまっ!」
 里玖が再び殴り掛かろうとしたとき、セシリアがそれをよけようとしたとき、闖入者によって止まった。
「セシリア」
「あら、雁也」
 突然現れたのは、1年の制服を着た少年、佐伯雁也だった。
「あんたはいったい何をやってるんだ……」
 そう言って教室内に入り、セシリアの鞄を取り、彼女の首根っこをつかんで引きずるように連れだした。
「お騒がせしてすみませんでした」
「あ、雪ちゃん。日誌よろしくー」
 引きづられながら退場するセシリア。
 突然すぎて驚いていた里玖ははっとして雪奈の傍に行く。
「ゆ、雪奈! 大丈夫か!?」
「ふぁ、あ、里玖……!」
 やっと里玖の存在に気付いたのか、雪奈の顔がまた赤くなる。
 その様子を見て里玖は驚いた。
「ど、どうした!? 何かされたのか!?」
「あ、いや、な、何ともないよ!!」
 なんでもないと、手を振って見せる雪奈だが顔は真っ赤のままなので説得力に欠けていて、里玖は怪訝そうな顔する。
「なにか言われたのか」
「言われてないよ! なんでもないんだってば!」
 “ただちょっと……”ともごもご言う雪奈に里玖は問い詰める勢いで迫り、手を押さえつけた。
「いったい何を吹き込まれたんだ!」
「ふ、吹き込まれたって……その……」
 里玖の気迫に負け、雪奈は里玖の耳元でぼそっと、セシリアにされたことを言う。
 それを聞いた里玖は顔を赤くして、手を離した。
「わ、悪かった……」
「だ、大丈夫……そういえば、どうしてここに?」
「あぁ。今日は練習がないからここに向かってたんだ。そしたらお前たちが見えてな」
「そ、そう……」
 お互い照れながらなぜか正座で話す二人。
 雪奈は思い立ったかのように立ち上がり“日誌おいてくる!”と机の上の物を片付ける。
「リイネさんとこに寄ろう。外で待っている」
「うん!」
 先に里玖が廊下へと出て、FCに見つからないように外へと向かい、雪奈は日誌を職員室に届けてから里玖に合流する。
 エンジェルホームにつくまで、恋人つなぎをして歩いていくのだった。

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