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プロポーズ

1月27日は求婚の日だったらしいので。
続き

※本編終了後前提

 旅が終わり、ほぼ同棲に近い形で同居している里玖と雪奈。
 里玖は狩りや討伐依頼で生計を立て、雪奈は薬師だった父の跡をついて薬を売って生活の足しにしている。
 が、夫婦としての契りを果たしておらず、親友である弥悠や村の人々は「いつ結婚するのだろうか?」とため息をつきながら悶々としている状態だった。
 そんなある日の昼下がり――
「雪奈」
「あ、里玖。おかえりなさい」
 雪奈が薬用の薬草を摘んでいるところに討伐依頼をこなしてきた里玖が帰ってきた。
「依頼お疲れ様でした。今ご飯作るね」
「いや、今はいい。それよりも聞いてほしいことがあるんだ」
「ん?」
 きょとんとする雪奈。
 すると里玖は腰に差している剣を抜き、地面に突き刺すような柄の、持ち方をする。
「俺は、昔から雪奈の笑顔に救われてきた。これからもずっと、その笑顔を見ていたいと思っている。だから俺はこの剣と、この指輪に誓う。雪奈に添い、死ぬまで守っていくことを」
 “好き”や“愛してる”という言葉のない、里玖なりのプロポーズだった。
 そして、その言葉に雪奈は驚き、言葉を失う。
 ある不安が、雪奈にはあった。
「でも……私は……」
「雪奈、この指輪を見てくれ」
 そう言って里玖は右の薬指につけている指輪を見せる。
「これはオリジン王からあの旅の途中で借り得た物だ。王はそのまま持って行って構わないと言ってくれた。ちょっと触ってみてほしい」
 里玖に言われるまま、雪奈は指輪に触れる。
 指輪から流れ込んできたのは、雪奈と契約している精霊たちの魔力だった。
「承認している……いつ? いつ認めてもらったの?!」
「雪奈がいない時に、な。だから、俺のそばにいてください」
 とても穏やかな声で、とても優しい笑顔で想いを伝える里玖。
 その想いが雪奈に伝わったのか、ぽろぽろと涙をこぼし始めれしまった。
「ゆ、雪奈!? そ、そんなに……」
「ち、ちがっ、違うのっ」
 ぽろぽろとこぼれる涙を、手で拭いなが雪奈はら言葉を紡ぐ。
「うれ、しくて……好きって、いってくれた、以上に、嬉しくて」
「雪奈……」
「わたしも、ずっと、傍に居たいですっ」
 泣きながら、けれどもとても幸せそうな笑顔で応える雪奈。
 里玖はそっと、離すものかと言わんばかりに雪奈を抱きしめるのだった。

***
承認とは、雪奈と契約する精霊たちはちょっと過保護で、中には闇の力を保持する里玖を嫌う精霊もいるので、戦って勝ったら認めてやんよって言う決まりがあります。里玖は全勝して見事に認められた、ということですね。

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