悠衣が意識を失ってから数日がたった。
いまだに目を覚まさない彼女のそばに、護は毎日のように足を運んでいる。
「悠衣……そんなにつらかったのか……? 入ったころ、いろいろできるようになったって楽しそうにいってたじゃねぇか……」
話しかけても悠衣は返事を返さない。
そのむなしさが護の心を締め付ける。
「なぁ、起きろよ……」
《秩序レベル10→11》
あれからガラクタが増えていき、大きな山となっていた。
ガラクタの山の周りで遊んでいた子供たちだが、あるときヒカリが提案する。
「なぁなぁ! ひみつきち、作らないか!」
「ひみつきち?」
「わたしたちしかいないのに?」
「だってもったいないだろ! こんなにたくさんあるのにさ!」
「……本当は、地面でねるのがいやだから言ってるんだろ」
“?”を飛ばす女の子たちにヒカリは胸を張って言うが、リクにぼそりといわれて“ば、ばらすなよ!”と顔を赤くして言う。
だが、レンは大いに賛成のようで“さんせいさんせい!おれもつくるぜ!”とやる気を出していた。
「ひみつきちっぽくするならいいだろ? これだけあるならでっかいのが作れると思うんだ!」
力強くいうヒカリに、ほかの子供たちは面白そうだと思い、やる気になる。
「よーし、ひみつきち作るぞー!」
『おー!』
それから子供たちは力を合わせて秘密基地づくりに専念した。
いつの間にか、彼らがいる世界にほかの子供たちが来るようになり、秘密基地は一般的にある家2棟分の大きさとなった。
仲間が増え、ユイが「みんなと楽しくすごせる場所がほしいね」といったことから、たくさんの材料(ガラクタ)を使って、彼らのひみつきちは拡げられていった。
《秩序レベル20》
やがて、5人の子供たちが作り出したヒミツキチはちょっとした街へと拡大していた。
たくさんの仲間が増え、たくさんの部屋ができて、たくさんの遊ぶ場所ができて、子供たちは街となった秘密基地の完成を大いに喜び、お互いを大いにたたえた。
「ねぇねぇ、せっかくだから名前をつけようよ!」
「そうだな、でも俺たちでつけていいのかな?」
「……前に、名前を付けるなら俺たちでつけてほしいとみんなが言っていた」
完成した記念に名前をつけようと提案したのはユキナ。
それに待ったをかけたのはヒカリ。
最後に言ったのはリク。
それらを聞いていて、ポンと手を叩いてユイは言った。
「まちの名前、“楽園都市”にしよう!」
こうして、子供たちが作り出した街は“楽園都市”と名付けられ、外が一望できるテラスから手をつないだ5人が大きな声で仲間たちに新しい街の名前を告げたのだった。