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数日遅れ!

やっとかけたよWD話!
ぶっちゃけ中身がない気がするよ!
でも愛だけはつめたよ!
毎度ながらのパターンさーせん!
続き

 あれから1ヶ月が経った3月14日。
 里玖はエンジェルホームの厨房で何かを作っていた。
 この日はホワイトデー。
 バレンタインの時に雪奈からチョコチップクッキーをもらったため、お返しのためのお菓子を作っているのだ。
 漂う甘い匂いに時々気分を悪くする里玖だが、雪奈のためと自分に言い聞かせてはせっせと作っている。
 今作っているものはマシュマロサンドクッキー。
 マシュマロを軽くあぶってクッキーで挟むだけの簡単なものなのだが、それだけでは芸がないとクッキーも手作りすることにしたらしい。
 ちなみに現在の工程はクッキーの生地をこねている。
「どお、里玖。順調?」
「梨依音さん……甘いです……」
「それは仕方ないわね。でも、飲食系を目指すなら慣れないとだめよ?」
「はい……」
「あら、あとは型取りだけね。型抜きはどれがいいかしら?」
 そう言って梨依音は調理器具の入った引き出しから型抜きをいくつも取り出す。
 丸型にハート型、星形に花型、どれも無難な型ばかりだった。
「チョコペンやカラースプレー、ナッツもあるからかわいくしてみなさいね?」
「!?」
 軽いお題を出された感に若干へこみつつ、これも雪奈のためと里玖は頑張るのだった。


 そして店の休憩時間。
 その時間帯を狙って店の扉が開く。
「こんにちは~」
「いらっしゃい雪奈ちゃん、さぁさぁ座って」
 入ってきた雪奈をカウンターに進める梨依音。
 しかし厨房には彼女しかいない。
「はい、ミルクティ。それとイチゴのショートケーキ」
 梨依音が雪奈の前に出したのは紅茶とカットされたショートケーキ。
 甘いものが大好きな雪奈は満面の笑みで“ありがとうございます”とお礼を言って食べ始める。
「そういえば……里玖は来てないんですか? バイトの日だって聞いてたんですが」
「来てるわよ。でも準備中みたい」
「準備中?」
 梨依音がウィンクをしながら言うと雪奈は小首をかしげる。
 そんなときに、店の奥にある夫妻の私室へつながる扉が静かに開いた。
「雪奈、来てたのか」
「うん。里玖もお疲れ様」
 出てきたのは里玖だった。
 彼の両手には小さな袋と長細い箱のようなもの。
 バイトが終わったのだと思って、雪奈は里玖のそばへ。
「雪奈、これ」
「ん?」
 里玖から手渡されたのは小さな袋。
 開けて見ればマシュマロクッキーサンドが数個、入っていた。
「うわ~! ありがとう、里玖」
「ば、バレンタインのお返しだ。それとこれも…」
「ん?」
 そう言って差し出したのはもう片方にあった、長細い箱。
「これは……? うわぁ……!」
「少し早いが、誕生日おめでとう」
 雪奈が箱を開けると同時、里玖がいう。
 中に入っていたのは、水色の石がついたシルバーネックレス。
「こ、これ、いいの? 高かったんじゃ……!?」
「雪奈に似合うと思ったんだ。これぐらい、安いものさ」
「あ、ありがとう……ありがとう里玖」
 嬉しさのあまりか、雪奈の瞳に涙が浮かぶ。
 そんな雪奈を、里玖はぎゅっと抱き寄せるのだった。

終わり


「私のこと、忘れてない? そんなところも大好きだけれどね」
 カウンター越しに、若干呆れながら梨依音は見ていたのだった。

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