以前に診断メーカーで出たお題に挑戦。
お題内容は「見える位置に残された跡」と「朝になった、夢じゃなかった」を主に。
ちょこっと「ただ傍にいてくれたらそれだけで良かった」も含ませたいと思いつつ無理だった気がする。
突発だからいつも以上に短い。
チュンチュンと鳥のさえずりとともに日の光がカーテンの隙間から差し込んでくる。
光とさえずりにふと目を覚ました里玖は、自分の隣ですやすやと眠る愛しい恋人を見て微笑んだ。
そして、布団から覗かせる彼女の素肌を見て、ドギマギする。
首筋から鎖骨のまわりに散りばめられた、いくつもの紅い花弁のような痕。
その痕が、朝を迎える前に何があったのかを彼に思い出させる。
(夢じゃ……ないんだな……)
高校で出会って、告白してひっそりと付き合って早数年。
ファンクラブなんてよくわらないものに付きまとわれて思うような高校生活を送れなかった彼にとって、恋人の存在は退屈な高校生活を楽しくさせるものであり、いつのまにやら必要不可欠なほど大きくなっていたらしい。
(よく寝ている……無理をさせてしまったか……)
ただそばにいるだけでよかったのに、いつの間にほしいと思ったのだろうか。
そんなことも考えながら彼は眠る恋人の髪をそっと撫でる。
「……ん」
(起こしてしまったか……?)
身じろぎする恋人から手を離し、じっと見つめる。
「……んにゅ……あ、おはよう、里玖」
「あぁ、おはよう。雪奈」
あぁ、夢じゃないんだ。と、里玖はとろけるような寝ぼけ眼の恋人を見て思い、彼女に目覚めのキスを送るのだった。
その痕が、夢じゃないと教えてくれた
***
ちなみに場所は里玖の家。
初めてか2回目の訪問じゃないかな?
とりあえず高校卒業後設定のお話でした。
うん、短い。