紅葉さんのイラスト見たら思いついた突発もの。
たぶん、セリフを言わせたかったんだろうな、と思う。
かなり短め。
紅葉さん、湧点さん、お子様たちお借りしました。
そして、ネタ借りてすみません。
夏特有の湿気を含んだ、よく晴れた日の夜。
王華市内にある神社で夏祭りが行われた。
様々な屋台に賑やか笛や太鼓の音。たくさんの人々が行き交う境内。
そこに、王華高校に通う生徒達も大勢来ていた。
「あ、里玖に雪奈。来てたのね」
「弥悠も……って、制服？」
浴衣を着て遊びに来た里玖と雪奈。
境内にいた弥悠に声をかけるが、着ている服は制服だった。
「……風紀は巡回か？」
「そうよ、主にあんたのせいでね」
「……好きで作られたわけじゃない」
FC絡みと思った里玖がそういうと、刺々しく弥悠が言い返す。
表情をなくして言う里玖に雪奈は心配そうな顔をした。
「まぁ、理由はそれだけじゃないんだけどさ。里玖のとこは凶暴性が高いからね。交代制だからあとで隼人君と合流して遊ぶつもりよ」
「そっか……ごめんね？」
「雪奈は気にしないの。向こうが決まりを破るからいけないのよ」
しゅんとする雪奈に弥悠がしょうがないと言う表情をして言った。
そんな時、遠くから“香月ー”と呼ぶ声がした。
「あ、行かなきゃ。楽しんでらっしゃい」
と、言って弥悠は呼ばれたほうへと速足で向かって行く。
「悪いこと、しちゃったな」
「雪奈のせいじゃないさ。気にするな」
「あ、先輩！」
「ん？ シロちゃんクロちゃん！」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには浴衣を着た時乃姉妹と狼兄弟、そして佐伯兄妹の片割れである桐枝がいた。
「エン君たちも一緒なんだねー。ってあれ？ 雁也君は？」
「兄さんと、セシリーも一緒だったんですけどね、いつの間にかはぐれちゃいました」
「雪奈先輩。香月先輩は？」
「弥悠なら風紀委員のお仕事で見回りに行ったよ」
雪奈の問いに桐枝が答えると、シロが尋ねてきたので答える雪奈。
聞いた面々は驚いた表情をする。
「風紀って大変なんだなー」
「そうだね。だから問題起こすなよ？ コウ」
「起こさねぇよ！」
「あ、リンゴ飴―！」
「おい、クロ！？」
各々騒ぎ出す(？)後輩たちに里玖と雪奈は“元気だねー、そうだなー”と話していた。
「そういえば、あと1時間ぐらいで花火打ち上げるみたいですよ！」
「そうなんだ！ せっかくだし、移動しよっか」
雪奈の提案に一同うなずき、花火の見やすい位置を探しながら露店の間を歩く7人。
「花火楽しみだね～」
「ですねー」
「クロちゃん、リンゴ飴おいしい？」
「うん」
和気あいあいと話し出す女子4人と見守る男子3人。
「皆かわいいよね」
「だなー」
と狼兄弟は口にだし、里玖はぼそりと同じ意見を口にする。
だが、男どもは彼女もち故に思っていた。
『俺の彼女が一番だけどな』と。
「？ なにしてるの？」
「早く行こうよっ」
「里玖？」
歩みの止まったことに気づいたシロ、クロ、雪奈が順番に言う。
しかも見事に小首をかしげつつ。
そんな3人を見て男どもはかわいいしぐさに再び惚れるのだった。
おわり