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【学パロ】居酒屋にて【未来】

5/23がキスの日だったらしいので間に合うように書いてみたら全然間に合わなかったという。
自分も飲み会行くけど、割とこんなノリだったりする気がしたので書いてみました。(しかし技かけとかはない。あーんは強要されたが)

続き

 俺は小杉隼人。高校の時に惚れた香月弥悠先輩と念願かなって付き合いだしてから早数年。
 俺や矢島が無事に成人になって、“二人とも飲めるようになったし、飲みたいよねー”と弥悠さんと話していて呑み会企画が立ち上がり、王華高からちょっと離れた居酒屋探して会えるように設定をした、まではよかったんだけどさ……
「りく、おいしーね」
「すいませーん、梅酒の水割りくださーい」
「……」
 こぢんまりとした居酒屋にて、周りもにぎやかだけどここも割と賑やかになっていた。
 まぁ4人だけで呑んでるし、ある程度自由だろうなとは思っていたんだ。
 だけど矢島はリンゴサワー1杯で顔真っ赤にして中瀬先輩にベタベタ、たぶん甘えてるんだろうな。
 先輩は先輩でハイボール飲みながら甘えてくる矢島に頭をポンポン撫でたりしてる。
 まだそんなに飲んでないからわからないけど、たぶんこのメンバーで1番強いと思う。
 弥悠さんは、ペースはそこそこなはずなのにすでに3杯目を頼んでいる。あれちょっと早すぎやしませんか?!
 ちなみに、飲み会を開始してからまだ30分ほどしか経ってません。
「ちょっと隼人―。あんた全然飲んでないじゃない。少しは飲みなさいよ」
「お、俺はちょっと……」
「あぁ? 私のお酒が飲めないとでも?」
「あ、いや……」
 俺がメニューを見ていると弥悠さんが少しだけ中身が残っているグラスを持って俺に詰め寄ってくる。
 一応酒自体は頼んでいるし飲めるけれど、俺は潰れちゃいけない気がするので控えめにしている。
 最悪、先輩がどうにかしてくれそうな気もしなくもないけれど。
「それに先輩のグラスほぼ空じゃないですか」
「なんで先輩呼びなのよ! いつもみたいに呼びなさいよ!」
 あ、これ酔ってる。
 よくみたらうっすら顔赤いし、いつもツンツンなのがデレも混じってる気がする。
 確実に酔ってる。いや、すでにおかわり3杯目になれば酔うか……
「ちょっと聞いてるの!?」
 げんなりしながら考えことをしていると弥悠さんが羽交い絞めを決めてくる。
 さすがに苦しくて“ギブギブ!”と俺は降参の声を上げる。
 ちなみに4人がけのテーブルで、仕切りがついているから周りにそんなに迷惑はかからない……はず。
 ちらっと先輩と矢島を見たとき、何があったのか矢島が先輩に思いっきりキスをかましていた。
 突然だったんだろうな、先輩は固まったまま動かない。
「えへへ、ちゅーしちゃったー」
 赤い顔した矢島がイタズラ成功と言わんばかりの笑顔で笑っていた。
 先輩はまだ固まっていたけど、十数秒後に硬直が解けて小さくため息をはいていた。
「はーやーとー」
「い、いででで!?」
 技がかかったままなのをすっかり忘れて、矢島と先輩を見ていたもんだからまた弥悠さんに締められる。
 あれ……なんかお花畑が見えてきた……
 ……
「……香月、離してやれ。死にかけてる」
「へ? きゃー隼人ー?!」
 ……
 …………ふぁっ、あれ何が起きてた。
 頬がめちゃんこ痛いんですが。
「ごめんね隼人ー!」
「弥悠さん……?」
「香月が力加減間違えて死にかけてた」
 泣きつく弥悠さんに、先輩が簡単に説明をしてくれた。
 どうやら俺は召されかけてたらしい。
 頬が痛いのは呼び戻すために叩いたとか。
「ごめんね、ごめんね」
 涙をポロポロ流すもんだから怒るに怒れないというか、デレが前面に出てきてるので、まぁいいかとか思ってしまう。
「でも、俺死にかけたしな……」
 そう俺がつぶやくと弥悠さんはびくりと肩を震わせて、怯えたような眼で俺を見ている。
 素面の弥悠さんでは見ることのできない表情だ。
 これは、ちょっといじっても大丈夫そうか……?
「み、弥悠さんが……弥悠さんがキスしてくれたら、許しても、いいかな~?」
 躊躇いがちに、ちょっとしたいたずらを言ってみる。
 これを素面の時に言ったらたぶん殴られ蹴られてると思う。
 でも、今ならやってくれるんじゃないかって思ってしまった。
「……そんなのでいいの?」
「い、いいっすよっ」
 おずおずと聞いてきた弥悠さんに思わずどもりながら答えてしまった。
 どうしよう、後が怖くなってきた……
 とかそんなことを考えていたら、急に弥悠さんの顔が近づいてきて俺の口元にぬくもりが宿る。
 弥悠さんからキスされたとわかった時には、もう離れていて。
 けれども、その代わりというかのように弥悠さんは俺を抱きしめてくれた。
「ごめんね? 隼人」
「!……っ」
「え、隼人? 隼人!?」
 上目づかいで俺を見る弥悠さんに、俺は幸せで胸がいっぱいになり、そのまま気を失ってしまったのだった。

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