悠衣が意識を失って1週間以上が経った。
未だ目覚めない悠衣の表情に変化があった。
穏やかだった寝顔が、苦しそうな、苦痛を感じているような表情にゆがんでいた。
「悠衣……(いったい、どうしたんだよ)」
仕事を抜け出してきた護は、そっと彼女の手を握り、目覚めることを祈った。
《秩序レベル60→96》
ギスギスした空気を感じた中心核の子供たちは遊ぶ人数を決め、それ以外の子供たちには役割を与えることにした。
仲間の子供たちをいくつものグループに分けて番号を振り、番号によって時間や場所、役割に応じて制限すると宣言した。
その宣言をしたのはユイ。
「なお。仲間割れはもってのほかです! みんな協力してくださいね!」
街のためにと勉強して成長した中心核の5人。
しかし、成長していたのは彼らだけではなかった。
その声は、制限とともに与えられた場所から上がってくる。
「いやだ! もっと遊ばせてよ!」
「遊びの時間は終わりだ。さ、交代交代」
「私はこんなことがしたいわけないのに……」
「どうして好きなことだけやっちゃいけないの?」
「苦しいことに耐えるのは、市民の義務だよ」
「どうして自由に遊んじゃダメなんだよ!」
「決められたルールだよ! 守れないなら遊びは禁止!!」
「もぉ、こんなのいやだよぉ!!」
いろんなところから聞こえてくる悲痛な叫びとそれを押さえつける声。
役割をこなしつつ、街を見守るユイにとって、それは耳をも塞ぎたくなるほどものだった。
(なんで、どうして…!? みんなが危なくないように、楽しめるように考えてるのに……!?)
「……私たち、縛り付けちゃったのかな」
「そんなとこないよ! だって、何も決めてなかったから何人もいなくなっちゃったんだよ?」
「でも、限度ってあるよな……」
「……反発の声が聞こえてきてる」
「前に言われた。なんであんたたち5人だけで決めるんだよって。前は任せてきたのにさ……」
今までしてきたことに後悔を感じたユキナ。
ユイは自分たちのしたことは間違ってないと思い、それを告げる。
しかし、ヒカリやリク、レンの言葉にユイはこぶしを作った。
楽しく、自由だった街はいまやガチガチの秩序ができたことで、ある意味平和が保たれていた。
しかし、そこにで遊んでいたはず子供たちから笑顔は消えていて、怒りの声や泣き声、無気力な姿など、楽しかったころの姿など微塵も感じさせない街へと変化していた。