おととい(5月9日)は告白の日だったらしい。
そんなわけで、前々から書きたかった告白話を書いてみたよ。
あいっかわらずの甘々だよww
なんか書き方がいつもと違う気がするけど気にしない☆
それは一学期の終業式の日、中瀬里玖はある決意をした。
「え、放課後に雪奈を呼んでほしい?」
「あぁ、頼めないだろうか」
「いや、いいけど……あんた、立場わかってる? 今や王華史上最大のFCを抱える有名人よ?」
その日の朝、まだ誰も来ていない教室で王華高校最大のファンクラブを抱えると男、中瀬里玖と王華最強の風紀委員に属する香月弥悠がひそひそ声で話していた。
「前から相談受けてたから応援したいけど、ばれたら後々大変よ? どうして学校内なの」
「中でも外でも同じなら、おまえがいる中のほうが安心できる。外で見つかったら、追いかけられかねない」
「……一応、学校外での追っかけは禁止してるけど……そうね、あんたがそういうなら伝えておくわ」
「感謝する」
ちょうど話がついたころに、ちらほらと生徒たちが登校してくる。
じきにFCの面々が来ると思うと、里玖は憂鬱で仕方なかった。
そして放課後。
終業式だけだった為、学校は午前中で終わった。
ばらばらと生徒たちは教室を後にする。
その中で、1年の教室で矢島雪奈は携帯を確認しながら帰る準備をしていた。
「雪奈ー、帰らないのー?」
「うん、ちょっと用事済ませてから帰るね」
「わかったー、それじゃよい夏休みをー」
仲良くなった女子友達にあいさつし、雪奈は鞄を持って2年棟の屋上へ向かう。
(それにしても、なんだろう。一緒に帰る時でいいのに……委員会で一緒に帰れない? でもなんで屋上?)
屋上へ向かうことになったのは、朝早い弥悠からのメールだった。
『放課後、2年棟の屋上に来てね』
書かれた文面に疑問に思いつつ、雪奈はわかったとメールを返す。
弥悠から冗談でメールが来ることは少ないことを知ってるゆえに、何かしらの理由があるのだろうと思ったのだ。
やがて、2年棟の屋上につく。
照りつける日差しは強く、夏本番もあってかはやり暑い。
「うー暑いなー」
手をかざし、雪奈はまぶしそうに空を見る。
その時、校舎と屋上をつなぐ扉の開く音がした。
「もう来ていたか」
「! な、中瀬先輩!」
現れた人が弥悠ではなく里玖だったことに雪奈は驚いた。
思わず顔が赤くなる。
「悪かったな、香月に頼んで呼び出してもらったんだ」
「え、じゃぁ、先輩が…?」
「あぁ」
そういって、里玖は雪奈の前に立つ。
手を伸ばすと触れられそうな位置に。
里玖は1度深く深呼吸して、口を開いた。
「矢島、俺と付き合ってほしい」
「はい、いいですよ?」
「!?」
意を決しての告白。
しかし、それはいともあっさりと答えが返ってきたものだから逆に里玖が驚いた。
しかし、彼女の言葉には続きが。
「どこか行かれるんですか?」
(あぁ…そうとらえたのか…)
彼女が捉えた言葉の意味を理解して、思わずため息をつく里玖。
苦笑いをしながら彼は補足する。
「いや、恋人として、付き合ってほしい……好きなんだ、雪奈」
「……へぇ!?」
伝えられた言葉の意味に、ワンテンポ遅れて雪奈はそれを飲み込む。
勘違いしてしまったのと、まさかの告白に顔を真っ赤にし、パニックになる。
「え、えぇ!? ちょ、こ、恋人って!? えぇ!?」
「もちろん、今すぐに答えを出せとは言わない。けれど、初めて会ったときに気になったのは雪奈、お前が初めてだったんだ」
“だから、考えておいてほしい”そう言い残して、里玖は校舎の中へと入っていく。
真っ赤になった雪奈は、とりあえず日陰に逃げ込み、胸を抑えるように手を添えて小さくしゃがんだ。
(な、なに、どうゆうこと!? な、中瀬先輩が、わわわたしをすき、だなんて……!? 仲良くすることすら大変なとこなのに、つつつつきあうなんて!?)
心の中は大パニックだった。
雪奈自身、告白されるなんて思ってもいなかったから。
それと同時に、不安でもあった。
(……私なんかで、いいのかな……私よりも、もっと釣り合う人がいるはずなのに)
自分とは釣り合わない、そう思い込むがゆえに里玖からの告白に戸惑ってもいた。
だけれど、好きだと言ってくれたことが嬉しかったと彼女は気づく。
里玖のことを考えていたせいもあるのか、彼の笑顔がたくさん浮かんでくるのだ。
(どうしよう……いいの、かな)
うれしいような、恥ずかしいような。
彼女の表情は、恥じらう乙女そのものだった。
後日、雪奈は決意する。
里玖の連絡先を知らないため、弥悠を通して会う約束をした。
その場所は、人通りの少ない喫茶エンジェルホームのある通り。
「すまない、遅くなった」
「い、いえ……暑いときに呼び出してすみません…」
雪奈は花柄のワンピース、その中にこげ茶のキャミソール、その上に黒のカーディガンを羽織っていた。
対して里玖は、Tシャツにジーンズとラフな格好あるが、さまになっている。
「それで用とは」
「こ、この前のお返事、したくて……」
ドキドキと早鐘を打つ胸に手を添え、深呼吸して雪奈は口を開く。
「わ、わたしも、好き、です」
そう伝えた瞬間、雪奈はぐっと抱きしめられた。
かすかに、彼女を抱きしめる彼の手が震える。
「ありがとう、雪奈」
「……こんな私ですが、よろしくお願いします」
抱きしめあったあと、二人は手をつないで歩き出す。
さて、最初のデートは何処へ行くのか。
おわり