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天使の集う店

絡める方法を模索した結果です。
単に出したかったのもある。
続き

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 イケメンばかりが集まる特殊な高校は割と住宅地の近くに設立されていた。
 その住宅地には、ひっそりと隠れるように喫茶店が営まれている。
 経営者の知り合い、高校に勤める教師たちなど、お客の数なんてたかがしているその喫茶店の名は「エンジェルホーム」


天使の集う店


 小さな喫茶店を営むのはそこそこ若い夫婦だった。
 マスターである夫の名はジーベル・ミカエリス。短い茶の髪に茶の瞳とう、ぱっとみ日本人な風貌をしているのは日系人故。
 幼いころに祖国から日本に移住し、王華高校に通学、その後は料理学校へと進学して現在に至っている。
 元々、料理が好きだったのともあり料理の腕はピカイチで、店に来る常連たちはエンジェルホームで食事を済ませ、かつ自宅でも彼の料理を食べたいとお持ち帰りを頼まれることが多い。
 そんな彼を支える妻の名は梨依音。彼女は根っからの日本人で、夫と同じ髪色と瞳の色を持つ柔らかな雰囲気を持つ女性。
 彼女も王華高校出身で、2人は高校からのお付き合いで添い遂げる仲までになった。
 そんな二人が営む喫茶店に訪れる客はほとんどが知人か高校の恩師たちだが、時々生徒たちも……


 カランカランッとドアベルが鳴り、“いらっしゃいませ”と梨依音の優しい声が響く。
 店の中に入ってきたのは、赤の王華高校の制服を着た女子生徒だった。
「あら、雪ちゃん、いらっしゃい」
「こんにちは、梨依音さん」
 若干息を切らせて入ってきたのは王華高校に通う少女、矢島雪奈だった。
彼女の様子に梨依音は思う、また追いかけられたのかしら、と。
「ちょっと、避難させてください……里玖も来るって言ってました」
「あら、そうなの? それじゃ、美味しいもの準備しちゃおうかな?」
 “はい、アイスティー”と雪奈に言いながらカウンターに氷の入ったグラスを置く。
 彼女は可愛らしく両手を合わせて“ありがとうございます”と笑顔でいい、梨依音の前に座った。
 時間的に言えばちょうど放課後なので、雪奈以外の客はいない。
「あ、梨依音さん。父がまた梨依音さんのオムライス、食べたいって言ってました!」
「まぁ。そしたら店に来なさいって言ってちょうだい」
「あはは、伝えておきます」
 笑顔で言う梨依音の言葉に雪奈はクスクスと笑う。
 梨依音と雪奈の父は大学からの友人であり開店当時からの常連で、昔からよく雪奈を連れてこの店で食事をすることが多いのだ。
 他愛もない話をしているうちにまたドアベルがカランカランとなる。
 視線をそちらへと向ければ、草臥れた様子の男子生徒がいた。
「いらっしゃい里玖」
「里玖!」
 梨依音と雪奈が同時に言う。
 来店したのは王華高校一の人気者であり、高校最大のファンクラブを持つと言う少年、中瀬里玖だった。
「こ、こんにちは……」
「息切れなんて珍しいわね。追っかけがひどかったの?」
「まぁ、そんなとこです」
 はぁぁぁと深いため息をつき、里玖は制服を簡単に整えてから当然のように雪奈の隣に座る。
 かすかにだが、外から里玖を探す女子生徒たちの声がしなくもない。
「まだお客さんたち来ないだろうし、ちょっと閉じようかしら」
 そう言って梨依音はカウンターを出て店の外に出る。
 “営業中”となっていた看板を“準備中”にして。
「あ、すみません!」
「はい?」
 看板を変えたと同時に梨依音は声をかけられ振り向いた。
「あの、長身で銀髪の王華生、見ませんでしたか?」
 梨依音に声をかけたのは青の王華高校の制服を着た女子生徒だった。
 色からして3年、腕には腕章をつけており、中瀬里玖FCと書かれているのが見えた。
「いいえ、見てないわ。あなた、ファンクラブの子なのね?」
「はい。もし見かけたら……」
「追っかけもいいけれど、学校外まで追いかけるのはNGのはずよ?」
「そ、それは貴方には関係ないです!」
「あら、じゃぁ学校に連絡して生徒会に伝えてもらおうかしら。問題を起こしたFCはある程度の活動停止を提示されるはずよ?」
 梨依音から出た言葉に女子生徒はうっと言葉を飲む。
 すらすらと出てきた言葉は、王華高校独自の名物であるファンクラブの制約事項だった。
 かつて王華に通っていた梨依音だからこその言葉だが、そんなことを知らない現FCの女子生徒からすれば“何よこのおばさん、どうして制約のこと知ってるのよ”と軽い混乱状態である。
「あら~? あっちの方から風紀の腕章付けた子が見えるわね。見回りかしら?」
「!? し、失礼しました!」
 “風紀”の単語に女子生徒は慌てて逃げていく。
 その様子に梨依音は“あらあら”と小さく笑った。
 実を言えば、風紀委員なんて来ていないのだ。
「変わらず風紀委員とファンクラブは犬猿の仲なのね」
 そう呟いて梨依音は中へと戻った。
 カウンターには夫の姿があり、雪奈が幸せそうな顔で新作であろうデザートを食べ、その様子を愛しむように里玖が見ていた。
「あら、あなた。新作パフェの試食をお願いしたの?」
「あぁ、雪奈ちゃんならいい意見をもらえそうでな」
「あ、梨依音さん。これほろ苦くておいしいです~」
 でれっとした顔に梨依音は“それはよかったわ♪”と言ってカウンターの中へと入っていく。
 美味しそうに食べていくお客たちを沢山見てきた夫婦だが、雪奈の表情は格段に美味しそうだと思っていた。
「あぁ、そうだ! 今度友達、連れてきてもいいですか!?」
「えぇ」
「もちろんだとも」
「わぁい! ありがとうございます!」
 嬉しそうにお礼を述べた雪奈はまた新作デザートを食べ始める。
 その様子を愛おしそうに見る夫婦と恋人。

 王華高校の近くの住宅街にある小さな喫茶店「エンジェルホーム」
 そこに、入学してすぐに有名になった3組の双子達と高校で最強とも言われる風紀委員たちが遊びに来るようになるのは、まだ先にお話。

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学パロ版、リイネとジーベル夫妻です。
いつか他のお子様たちと絡めるように書いたというか、書きたかった、それだけですww

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